水彩絵の具(アナログ)で影をきれいに描くコツについて | 毎日水彩画

アナログで描いた水彩画日記 - Daily watercolor painting

水彩絵の具(アナログ)で影をきれいに描くコツについて

★本サイトは一部にプロモーションが含まれています★


絵に描くのが難しい、物の「影」。

自然界にあるものにはすべて影がありますが、これをアナログ水彩で違和感なく表現するのって結構難しいことなのですよね。

しかし見た目に目立つものだけに、上手く描けないと作品そのものが失敗作となってしまうことも。

今回はそんな影を、水彩絵の具でできるだけきれいに描くコツについて解説したいと思います。

水彩絵の具できれいに影を描くコツ

影には、そのもの自体が重なり合うなどしてできる影と、太陽やライトなどの光に照らされてできる影があります。

そんな影をアナログの水彩絵の具できれいに描くコツについて、いくつかのポイントをまとめてみました。

できるだけ少ない筆数で描く

当然ですがモノの影は、暗色で表現することがほとんどです。

なので重ね塗りしすぎると、その部分だけ黒くなりすぎて浮いてしまったり、不自然に見えてしまう恐れがあります。

どのような影か?にもよりますが、水彩で影を描く場合はできるだけ少ない筆数で描くようにしましょう。

またキレイに描くにはなるべく時間をかけず、思い切りよくさっさと描くことが大切です。



例えば以下。

これは私が描いた水彩画の一部を切り取ったものですが、日差しに照らされて植物の影ができています。



見るとわかるとおり影にも暗い部分と明るい部分があり、薄い影に関しては一筆で描いてます。

その薄い影が乾いたあとに、暗い部分のみを軽く塗り足している…という感じです。

何度も塗ると、紙の上の顔料(色のもと)が密になって重くなるため、最暗部に関しては暗色を濃い目に作ったうえで一回で塗るようにしています。

場所によっては一発勝負にもなるため、影をどのような形で描くか?を最初にしっかりと考えたうえで、暗色を置くことが大切です。



ちなみに影に使う色ですが、例えば私は以下のような混色で作ることが多いです。(ホルベインの透明水彩絵の具の場合)

コバルトブルー + バーントシェンナ

プルシャンブルー + バーントアンバー

コバルトブルー + バーントシェンナの組み合わせは、日差しによる影を描くときにはかなり出番が多いです。

プルシャンブルー + バーントアンバーはかなり濃くなりますので、うんと濃くしたい部分に使います。

上記のほか、周りの配色にあわせてレッド系やグリーン系の色を混ぜたり、イエローを混ぜることもあります。

何色を使えばよいか?は、何度も描いているうちに感覚的にわかるようになってくると思います。

適度に省く

描こうとしている風景や物によっては、影の出方が非常に複雑な場合があります。

例えば以下の写真のような「木洩れ日」のある風景は、 木々からの光の漏れ具合がとても複雑で、その影を正確に描くのは結構難しいです。



明るい部分と影とが複雑に入り混じっていて、影を描くのが難しそうですよね。

もちろんそんな風景を上手く描く方もいらっしゃいますが、 慣れていない場合、見たままをそのまま水彩で表現しようとすると、絵が不自然になってしまう場合があります。

影というより、よくわからない黒い線が道に散っている…って感じになるんですよね。 正直、きれいには見えません。



そのような失敗を防ぐためにも、 影を描くのに慣れていない人が複雑な影を描く場合は、以下のように影を「適度に省く」ようにするとよいでしょう。



これはあくまでも例ですが、上手画像の左側の木漏れ日の影を描くよりも、右側の方がはるかに簡単ですよね。

簡略化された右側の影なら、筆で何度も触って画面を汚してしまうこともありませんし、影らしくみえやすいです。

影に限ったことではありませんが、慣れていない人は現実通りに描こうと思わずに、 適度に省いたり細部を変えて描くことを心がけるとよいでしょう。



ちなみにこの木漏れ日の風景の例では、上側にある木や葉の影を描くわけですから、それらの木や葉との位置バランスも見る必要はあります。

あきらかに影がないであろう場所に、影があったらおかしいですよね。

ですので影を省くときは、大体でいいので全体のバランスを見るようにして、違和感を感じない程度に省くようにしましょう。

色が薄いものの「影」はグリザイユ画法だと表現しやすい

色が薄い花の「花びら」などにみられる薄い影を描くのって、結構難しいです。

影を作るにはある程度濃い色を置く必要がありますが、だからといって色が濃すぎると、まわりの色が薄いせいで汚く見えてしまうからです。

影だけが目立ちすぎてしまうんですよね。

そんな色の薄いものに見られる「薄い影」を描く場合は、グリザイユ画法を活用するときれいに描きやすいです。




グリザイユ画法とは、まずモノクロで陰影を描き、その上から色を塗っていく絵の技法のことです。

もともとは油彩で使われていた古典的な技法の一つなのですが、 最近の絵画ではモノクロに限らず、「先に陰影をつける」という意味で使われることが多いです。

私の水彩画でのやり方は以下の通りです。

1.絵にあった暗色で陰影をつける

2.普通に色を塗る

3.影の暗さが足りない部分のみ、濃い色を塗り足す

私の場合、グリザイユ画法の使い方はどのような絵を描くかによってやや異なってくるのですが、 まず先に暗色で陰影をつけた後に、普通に色を塗ることが多いです。

もしくはベース色を絵に薄く塗ったあと、グリザイユ画法で陰影をつけ、さらに各色を塗る…という感じです。

陰影をつけたあとに塗る色は、できるだけ透明度の高いものが好ましいでしょう。



以下、グリサイユ画法で影をつけて描いた絵です。





多くの花は「花びら」の間に沢山の細かな影があり、リアルに描くにはそれらの影も入れる必要があるのですが、 影を沢山入れるとどうしても花が汚く見えてしまいやすくなります。

しかしグリサイユ画法を使って陰影を描くと、影が上色にカバーされるため、影自体の主張が弱まるのですよね。

結果、影が不自然に目立ちにくくなるだけでなく、花びらの透け感も出しやすくなります。

逆にくっきりと濃く見せたい影は、あとから塗った方がはっきりときれいに見えやすいです。



なお、水彩でこのグリサイユ画法を使って陰影を先に付ける場合、 影を濃くしすぎると上に色を塗った時に不自然な感じになることがあるため、あまりに濃くしすぎるのはNGです。

しかし薄くしすぎると、上に色を塗った時に陰影が見えにくくなるため、薄くしすぎるのもよくありません。

その加減が最初は難しいかもしれませんが、何度か練習すれば要領がつかめるはずです。

絵をレベルアップさせたいなら影をマスターしよう

影って絵の中ではサブ的な要素ですが、絵にリアルさを出すにはなくてはならないものです。

特に水彩画の中で光を美しく表現したいのなら、影の描き方をマスターすることは避けられません。

今回ご紹介した描き方は一例であり、ほかにもさまざまな影の描き方があるのですが、 現在影が上手く描けない…という人は、とりあえずご紹介している方法で練習してみて下さい。

ある程度描けるようになった時点で、さらによい描き方ができないかを考えてみると良いと思います。

参考にしていただけますと幸いです。


関連記事







ABOUT

ページトップへ