油絵と水彩画、どちらが初心者向け?どちらにしようかで迷っている方へ | 毎日水彩画

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油絵と水彩画、どちらが初心者向け?どちらにしようかで迷っている方へ

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これから絵画をはじめたいと考えているけれど、油絵(油彩)と水彩、どちらにするかで迷っている。

そんな方おられるかもしれません。というか、どちらが良いかと尋ねられたことがこれまでに何度かあります。

どちらが初心者に向いているのか?ですが、これ、個人の環境によるところが大きいのですよね。

なので一概にどちらが良いとは言えないのですが、 できるだけ気軽にはじめたい人には水彩画が向いているといえるでしょう。

今回は油絵と水彩、それぞれのメリット・デメリットについて解説するとともに、 初心者に水彩画が向いている理由についてお話ししたいと思います。

油絵のメリット

水彩が水性の絵の具を使って描く絵画であるのに対し、油絵とは「油に顔料を溶かした絵の具」を使って描く絵画のことをさします。

この油絵のメリットについて、以下に主なものをまとめてみました。

修正できるので思い通りの絵を描きやすい

私が考える油絵の大きなメリットは、なんといってもいくらでも修正できるという点。

油絵の具は乾くまでに時間がかかるため、水彩のように「乾かないうちに次の色をおかないと…」なんて急ぐ必要がありませんし、 一度描いた絵を全く異なる絵に描き変えることも可能。

一度で思い通りの絵を描くことって結構難しいですが、 油絵の場合は修正できるため、失敗を恐れずに絵を描くことに挑戦できます。

これ、絵を描くことになれていない絵画初心者には、かなりメリットが大きい特徴です。

絵が劣化しにくい

油絵の具を使って描かれた絵は、水彩など他の絵の具を使って描いた絵と比較すると、 非常に耐久性が高いです。

その理由は、絵の具に混ぜられている展色材の量が多いこと、また作品保護のために塗るニスによって、 絵が空気や水の影響を受けにくくなっているためです。

実際、何百年という大昔に描かれた油彩画が良い状態で現存している例からも、耐久性の高さをうかがい知ることができます。

もちろん、絵を保存する環境や使用する画材によっては、 早くに色あせなどの劣化が起こる可能性がありますが、それでも水彩などに比べるとキレイな状態を長持ちさせやすいです。

耐久性が高いと、描いた絵の保存や展示がしやすいですし、購入した絵画の場合でも、 良い状態を長く保ちやすいというのはメリットが大きいです。

ちなみに油絵以外だと、アクリル絵の具も油絵と同じくらい耐久性が高いため、 絵の保存性を気にする人にはおすすめです。

油絵のデメリット

油絵のデメリットについてまとめてみました。

油絵は絵画初心者にとってとても良い画材なのですが、 個人の環境によっては、油絵をやること自体が難しい人もいるかもしれません。

描く環境を選ぶ

油絵の具には特有のにおいがあります。

表現が難しいのですが、酸化した油っぽいにおいというか、他の絵の具にはない独特のにおいです。

油絵を描いていると、この特有のにおいが部屋いっぱいに広がります。そして描き終えた後も、なかなかにおいが取れません。

このにおいが苦手な場合、あるいは油絵の具のにおいが苦手な家族がおられる場合、油絵をやるのは難しいかもしれません。



加えて集合住宅にお住いの方が油絵をやる場合、周囲への配慮が必要ですし、 賃貸だとNGのところもあるかもしれません。(壁紙ににおいがつくため)

また油絵を描くこと自体は問題なくても、賃貸だと絶対に汚さないように気をつけなくてはならないため、神経を使います。

それは他の絵の具でも同じなのですが、油絵の具は乾きにくいという特徴があるため、 いつのまにか作品の絵の具が他の場所に…ということが起こりやすいんですよね。



あと、描くスペースや作品を保管するスペースも必要です。

一人暮らしならワンルームの生活空間で絵を描いて…もできないことはありませんが、 先にも書いた通り「におい」がきついため、その中で四六時中過ごすのは大変です。

というか、体に悪いです。

家族がいる場合、油絵専用の部屋が必要になるかもしれないなど、環境を選ぶ画材だといえるでしょう。



ちなみに私自身も昔は油絵を描いていましたが、自宅では描けないため、 当時通っていた教室のアトリエで絵を描き、アトリエで絵を保管してもらう…という方法をとっていました。

しかしこのやり方だと、描きたいと思ったときに描けないんですよね。 なので自宅では、鉛筆や水彩を使って絵を描くことが多かったです。

作品の制作に時間がかかりやすい

油絵の具は他の絵の具に比べると、塗った絵の具が完全に乾燥するまでに時間がかかります。

どのような油を使うか、どのような環境で描くのかにもよりますが、 例えば油絵の具を薄く塗った場合だと1~2日程度、厚塗りした場合だと1週間以上かかることもあります。

ちなみにこれは絵の具の表面が乾くまでの時間で、完全に内部が乾くまでにはさらに時間が必要です。

ひとつの作品が仕上がるまでに、結構な時間がかかってしまうんですよね。



別に時間がかかること自体は悪いことではありませんが、なるべく早く完成させたいという人も少なくないですよね。

また完成までの期限があった場合、乾くのが遅いと焦ります。

他の絵の具と違って計画的に描く必要があるところは、油絵のデメリットだといえるでしょう。



なお、油絵の具を乾燥させるためのメディウムや乾燥促進剤を使えば、通常よりも乾燥時間を短くできます。

が、使いすぎると作品の失敗にも繋がるため、使うのにはコツが必要。また完成した作品には使えません。

水彩よりもお金がかかりやすい

油絵を描くには、当然ながら油絵用の道具を揃えなくてはなりません。

それはどのジャンルの絵画でもそうですが、油絵は水彩などに比べると道具にお金がかかります。

絵の具や筆はもちろん、イーゼルやパレット、洗浄のための溶剤、乾燥を早めるならそのためのメディウム等々…

道具自体が高めなことに加えて、絵の具を厚塗りする描き方だと消費も早いので、継続してお金がかかってきます。

もちろん水彩も、高い画材を使えばお金がかかることには間違いないのですが、 ある程度費用を押さえたとしても道具のクオリティが大幅に下がることはないため、続けやすいんですよね。

絵画自体、本格的にやるのであればある程度費用がかかる趣味ではあるのですが、 お金をかけたくないなら油絵は向かないといえるでしょう。

水彩のメリット

次に、水彩画をやるメリットについて。以下にまとめてみました。

描く環境を選ばない

水彩は、描く環境をそれほど選びません。

先に挙げた油絵はにおいが強いため、専用の部屋が必要だったり、環境によっては自宅で描くこと自体が難しい場合もあります。

ですが水彩絵の具は、油絵の具のような強いにおいがしないため、道具を持ち込める場所であればどこででも描けます。

またコンパクトな道具を選べばどこにでも持っていけるため、旅先で水彩スケッチ…なども簡単にできるのですよね。

塗った絵の具が乾くのが早いため、不注意で周囲を汚してしまうようなこともそれほど起こりません。

この手軽さは水彩の大きなメリットだといえるでしょう。

比較的短時間で描ける

油絵の具は、キャンバスに塗ってから完全に乾くまでにかなりの時間を要します。

ひとつの作品を仕上げるのに時間がかかってしまいますが、水彩は作品の内容にもよるものの、比較的短時間で描こうと思えば描けます。

出かけた先で、ひとつの作品を完成させるなんてことも可能です。

納期がある作品を描く場合でも、油絵のように(まだ乾かない…)などと焦ることがないため、気楽です。

特にせっかちな人には、油絵よりも水彩の方がおすすめだといえます。

油絵に比べるとお金がかかりにくい

水彩画を描くには、水彩用の道具を揃える必要があります。

最初にまとまったお金がかかるわけですが、水彩は油絵に比べると使う道具が少ないこと、 またリーズナブルな紙が使えることや、絵の具の消費量が少ないために油絵ほどお金がかかりません。

もちろん質の高い筆や紙を使えば、それなりに費用はかかります。

なのでお金がかからないというわけではないのですが、できるだけコストをおさえながら描いていくことも可能なんですよね。

お金をかけずに本格的な絵を描きたい人には、水彩が向いているといえるでしょう。

水彩のデメリット

水彩のデメリットについてもまとめてみました。

失敗すると修正が難しい

水彩画制作は一発勝負なところがあり、一度失敗してしまうと修正が難しいです。

油絵であれば失敗したとしても何度でも描き直しができるため、失敗を恐れずにキャンバスに色を置いていくことができるのですが、 水彩は一度失敗すると、それで作品が台無しになることも少なくありません。

水彩は難しいといわれることがありますが、それは失敗できないからです。

私自身も過去、制作の途中までは素晴らしくうまくいっていたのに、最後の最後で失敗して作品をダメにしてしまった経験、何度かあります。

特に高価な紙を使って描いている時に失敗すると、結構落ち込みます。

このように失敗すると修正が難しいという点は、水彩の大きなデメリットだといえるでしょう。

作品の耐久性が低い

水彩絵の具で描かれた作品は、油絵の具やアクリルで描かれた作品に比べると、 耐久性が低い傾向にあります。

絵画は主に、紫外線(光)や水分(湿気)などの影響で劣化していきます。

例えば色あせや絵の具のひび割れが起こったり、 絵を描くのに使われている支持体(紙やキャンバス)自体が劣化することで作品がダメになることもあります。

水彩画はそうやって劣化するまでの時間が、油絵に比べるとかなり短いのですよね。



使う道具や環境によってはあっという間に劣化が進んでしまい、 作品としての価値が落ちてしまう場合もありますので、注意が必要です。

できるだけ長持ちさせたいのであれば、長持ちしやすい高品質の水彩紙を使うこと、 また光に弱い顔料を使った色の使用量を控えること、さらには完成作品の保管や展示環境に配慮することです。

それでも油絵やアクリルほどは持たないと思われるため、 制作した作品を後々の世代にまで残したいと考えるのであれば、水彩は選ばないほうが良いかもしれません。

絵画初心者に水彩をおすすめする理由

冒頭でも述べたとおり、私自身は気軽な気持ちで絵をはじめたいという初心者には、油絵よりも水彩がおススメだと思っています。

理由は、水彩なら自宅でもどこでも描きやすいこと、また比較的低コストではじめられるため、 仮に止めることになったとしても無駄が少なくて済むからです。

短時間で作品が完成するため、描くモチベーションが保ちやすいという理由もあります。



とはいえ、水彩にもデメリットはありますし、油絵は水彩に比べるとややハードルは高いものの、水彩にはない魅力があります。

なので油絵が描ける環境にいて金銭的な面でも問題ないのであれば、やりたい方をやるのが一番です。

どちらをやるかで迷っている(=どっちでもいい)のであれば、水彩の方が気軽でよいのではないでしょうか。


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