水彩画の白抜きを楽にする「マスキングインク」の使用方法について解説 | 毎日水彩画

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水彩画の白抜きを楽にする「マスキングインク」の使用方法について解説

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透明水彩で描くとき、基本的に白色の絵の具は使いません。

といっても絵の具セットには白色が入っていることが多いですし、 私自身に関しては、時と場合によっては白色を使うこともあります。

が、基本は使いません。



使わない理由は、白を使うと画面が濁るから。

白は「明るい部分」を表現する場合に使うことが多い色ですが、 白色絵の具って不透明色であるため、透明感のある白さは表現しづらいのですよね。

例えば「日向」のようなまぶしいくらいの明るさを表現するには、役不足です。

ではどうやって白を表現するのかというと、紙自体の白さを利用します。 具体的には絵の具を塗らないことで、紙の白色を生かします。

白で表現したい部分は塗り残すようにするわけですが、 波の飛沫や細かい光の反射など、描くものによっては塗り残すことが難しい場合もあります。

そんな場合に便利なのが、マスキングインクです。



今回は、水彩画の白抜きをする場合に、あると便利な「マスキングインク」の使い方について解説します。

マスキングインクとは?

マスキングインクとは、その名のとおり、マスキングするためのインクのこと。



冒頭で、透明水彩では白は使わずに紙の白を利用すると述べましたが、 描くものによっては色を塗らずに白を残すということが難しい場合もあります。

うっかり絵の具がはみだしてしまったりすること、あるのですよね。

一度絵の具を塗ってしまうと、完全な白には戻せませんから、 作品によっては失敗…となってしまうことも。

しかしマスキングインクがあれば、そんな失敗も防げます。



具体的には、白く塗り残したい部分にあらかじめマスキングインクを塗り、 カバーしてから絵の具で色塗りをします。

色を塗り終わってからマスキングインクをはがせば、 上手く白抜きができているというわけです。



実際には、マスキングインクを使って白抜きすると、 その部分だけ不自然に白く浮いてしまうことが多いため、 インクをはがした後の色の調整は必要です。

なのでマスキングインクが苦手という人もいるようですが、 細かく白抜きしたい場合は欠かせません。

使いこなせれば水彩画を描くときの大きな味方となるため、 ぜひ使い方を覚えて活用してみてください。

私が使っているマスキングインクについて

マスキングインクはさまざまな画材メーカーから販売されており、 メーカーによって若干使い心地が異なります。

私が現在使っているのは、以下の2種です。 瓶タイプのマスキングインクは、筆などにインクをつけて白抜きしたい部分に塗ります。

またペンタイプは、ペン先からインクが出るようになっており、 直接ペンのようにインクを塗ることができます。

どちらも一長一短があり、どちらが使いやすいかは好みにもよるのですが、 私自身は最近はほぼ瓶タイプのみを利用しています。
瓶タイプのマスキングインクの長所と短所

・量が多くコスパに優れる
・細かい部分が塗りやすい
・別途、筆が必要

ペンタイプのマスキングインクの長所と短所

・ペンのように塗れるので手軽
・量が少なくコスパが悪い
・細かい部分が塗りづらい

便利なのはペンタイプです。

ペンで描くように直接インクを塗ることができるので、 瓶のマスキングインクとは違って気軽に使えます。

ただ、ペンタイプはインクが急に沢山出ることがあったり、 細かい部分を塗るのが難しかったりします。



一方で瓶タイプは別途筆を用意しなくてはならないため、 ペンに比べると少し面倒なこと、また一度インクをつけた筆は他の用途には使えません。

なのでマスキングインク専用に筆を用意する必要がありますが、 使う筆によって塗る量や範囲を細かく調整しやすいです。

また1瓶当たりの量が多く、ペンタイプに比べるとコストパフォーマンスが良いというメリットも。

頻繁に使うのであれば、瓶タイプがおすすめです。

マスキングインクの使い方について解説

瓶タイプのマスキングインクの使い方について解説します。

必要な道具

まずは以下の道具を準備してください。

・マスキングインク
・筆や「つけペン」
・石けん
・小さい器
・ラバークリーナー(なくてもよい)

筆はどんなものでも構いませんが、小さめの丸筆が塗りやすいです。

マスキングインクで毛がダメになる可能性があるため、私自身は安物の筆を使うようにしています。

つけペンは、ものすごく細い線を描きたいときにあると便利ですが、なくても構いません。



あと石けんですが、これは筆がインクで固まってしまうのを防ぐために使います。

私は石鹸を少量の水に溶かして使っていますが、台所洗剤などを水で薄めたものでも構いません。



そして小さい器ですが、これは出したマスキングインクを置いておくのに使います。

マスキングインクの瓶にそのまま筆を突っ込んで使う人もいますが、 劣化が早まるような気がするので(多分、不純物が入るなどで)、あらかじめ使う分量を器に出すようにしています。

器を用意するのが面倒なら、瓶に直接…でも構いません。



最後にラバークリーナーですが、こちらもなくても大丈夫です。

ラバークリーナーは色を塗った後、マスキングインクをはがすときに使う道具で、 これがあると楽にインクをはがすことができます。

インクは手ではがすこともできるので、なくてもOKなのですが、 頻繁にマスキングインクを使うのであれば用意しておくと重宝すると思います。

マスキングインクを塗る

道具を準備したら、白抜きしたい部分にマスキングインクを塗っていきます。

筆に石けんを塗る

マスキングインクをつけて塗る

インクを乾かす

難しいことは何もなく、絵の具を塗るのと同じ要領でインクを塗ればよいのですが、 マスキングインクはやや粘度が高いため塗りづらいかもしれません。


マスキングインクを塗った直後の様子

粘度が高すぎて細かい部分がきれいに塗れない場合は、 ごく少量の水や石けん水などでインクを薄めてから使うと、きれいに塗れるはずです。

ただし薄めすぎないようにしてください。



あとインクがついた筆は放置せず、使い終わったらすぐに洗ってください。

時間がたつとマスキングインクが固まってしまうため、筆の毛がゴムのようになって使えなくなります。

マスキングインクを塗り終えるまでに時間がかかる場合は、 途中で一度筆をきれいに洗うことをおすすめします。



マスキングインクを作品に塗ったら完全に乾くまで置き、乾いたら絵の具で色塗りしてください。

マスキングインクをはがす

絵の具を塗り終わったら、マスキングインクをはがします。

紙がぬれた状態だと、マスキングインクをはがすときに紙を傷めてしまう可能性があるため、 絵の具が完全に乾いてからはがすようにしましょう。


マスキングインクをラバークリーナーではがす様子

先にも述べた通り、マスキングインクは指でもはがせますが、 ラバークリーナーを使うとびっくりするくらい簡単にはがせるので、あると重宝しますよ。





私が使っているラバークリーナー

マスキングインクをはがしたあとの部分が、白すぎて不自然に見える場合は、 絵の具でなじませるなどして調整してください。

マスキングインクを利用する場合の注意点について

最後に、マスキングインクを利用する場合に気を付けたい点についてまとめてみました。

色々あるのですが、特に以下の点には注意が必要です。

マスキングインクが使えない紙もある



薄い紙や表面強度の弱い紙にマスキングインクを使うと、はがすときに毛羽立ちが出ることがあります。

また紙によっては、マスキングインクの色がしみこんでついてしまう場合も。

一般的な耐久性の高い水彩紙であれば問題ないと思いますが、 はじめて使う紙の場合は、まずマスキングインクが使えるかを試すことをおすすめします。

インクを塗ったまま長期間放置しない



絶対にではありませんが、マスキングインクを塗ってから長期間放置すると成分が劣化してしまい、 柔らかくなってきれいにはがせなくなります。

どの程度の期間なら大丈夫なのか?については製品によって異なるようで、 2日以上置かないとしている製品もあれば、2週間以内にはがすことをすすめている製品もあります。

インクの劣化の進み具合は環境によっても変わってくるため、 どの程度の期間なら大丈夫…とは言えないのですが、 マスキングインクを塗った後はできるだけはやくはがすようにしましょう。

マスキングインクの保管の仕方に注意

マスキングインクは時間とともに一部の成分が揮発したり、水分が蒸発したりで粘度が高くなります。



また長期間保管すると、成分が瓶の中で固まってしまうこともあります。

環境が悪いと劣化が進みやすいため、できるだけ日の当たらない冷暗所に保管するよう心がけてください。



ちなみにインクの一部が固まったとしても、液体の部分が残っていればまだ使えます。

また時間とともに粘度が高くなっても、水や石けん水などで薄めれば普通に使うことができます。

ただし古いマスキングインクは紙に色移りしやすい場合があるため、 使う前に試してから本番の作品に利用するようにしましょう。


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