水張り面倒…水張りがいらない水彩紙について解説 | 毎日水彩画

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水張り面倒…水張りがいらない水彩紙について解説

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水彩画では、水分で紙がでこぼこしてしまうのを防ぐために、事前に「水張り」という作業を行います。

参考:水彩画を描くと紙がでこぼこする…を防ぐ・直す方法について解説

水張りを事前に行っておけば、どれだけたくさん水を使って描いたとしても紙が大きくヨレることはありませんが、結構面倒ですし時間がかかるのですよね。

紙のでこぼこは防ぎたいけれど、水張りは面倒なのでしたくない…。

今回はそんな方向けに、水張り不要でもきれいに描ける水彩紙をご紹介します。

水張りをしなくてもヨレない水彩紙とは?

水彩画を描くときに水張りをしたくない人は、「ブロック」タイプの水彩紙を使いましょう。

ブロックタイプの水彩紙とは、 以下のように10枚~20枚の水彩紙の側面を糊づけすることでブロック状に固めた水彩紙のことをさします。



ブロック状に固められて表面が反りにくくなっているため、水彩絵の具で描いたとしても簡単にはヨレません。

絵を描いたあとは、側面の糊の部分にペーパーナイフなどを差し込むことで、1枚ずつきれいにはがすことができます。

普通に水張りをすると、少なくとも一晩は待たなくてはなりませんが、 ブロックタイプの水彩紙なら思い立った時にすぐに絵が描けるため、忙しい人にもおすすめです。

ブロックタイプの水彩紙のおすすめを紹介

ブロックタイプの水彩紙の中より、私自身が特におすすめだと感じる水彩紙をご紹介します。

ウォーターフォード ブロック 300g

私が特に気に入って使っているのがこれ、ブロックタイプのウォーターフォードです。 イギリスの製紙会社、St Cuthberts Mil 社で製造された高級水彩紙で、100%コットンで作られています。

ブロックタイプなので水張りなしでもヨレにくいことはもちろん、 ぼかし、にじみ、重ね塗りなど水彩で使うあらゆる技法に耐える強度を持ち合わせています。

他の紙を使っていて「ぼかし」や「にじみ」が上手くいかない…という人は、一度この紙を使ってみてください。

何度も色を重ねる描き方をする人にも向いています。

ただし一度塗った色は完全には抜けないため、リフティング(色抜き)のような技法を多用する絵には向きません。

ミューズ 水彩紙 ホワイトワトソンブロック 300g

300gと厚みのある水彩紙の中ではお手頃な価格であり、なおかつ使いやすくておすすめなのがミューズのホワイトワトソン。 先にご紹介したウォーターフォードとは異なり、絵の具の吸い込みがやや抑え目であるため、色抜きが容易です。

なのでリフティング(色抜き)を多用される方や、修正が多い初心者にも扱いやすいブロック水彩紙だといえます。

紙の表面強度もほどほどに強いです。

ただし一度塗った色が動きやすいこと、絵の具を塗ったあとが残りやすいため、 何度も色を重ね塗りされる方には向きません。

軽いタッチでサッと仕上げるような描き方におススメです。

アルシュ 水彩紙 ブロック 300g

最高級水彩紙として非常に有名なアルシュのブロック水彩紙も、予算に余裕があるのであればおすすめです。 アルシュは、他の水彩紙と比較すると価格がかなり高いです。

なので誰にでもおススメできる製品ではないのですが、本気の作品を描くときにはこの水彩紙が向いているといえるでしょう。

プロの作品でも使われることが多いです。



紙の性質としては、最初にご紹介したウォーターフォードと同じで、 ぼかしやにじみ、重ね塗りはびっくりするくらいキレイにできますが、色抜きがしにくいです。

一度色を塗ると修正ができないため、リフティングを多用される方には向きません。

とはいえ、色の発色もよくとてもきれいに仕上がるため、水彩画を描いているなら一度くらいは試してみても損はない水彩紙だといえるでしょう。

ホルベイン アルビレオ水彩紙 ブロック 中紙218g

水を多く使わない描き方をされているのであれば、アルビレオ水彩紙のブロックタイプもおすすめです。 基本的に水張りをしないのであれば、300g以上の水彩紙を使うのが理想です。

なので本製品は、誰にでもおすすめできるブロック水彩紙ではないのですが、 水少な目で軽いタッチで水彩を描いているのであれば、本製品でも紙が大きくヨレることはありません。

紙が薄い分価格も安いため、練習用に良いと思います。

私自身も軽く描きたいときには、コストパフォーマンスを考えて薄手の水彩紙を使うことが多いです。

ブロックタイプの水彩紙を利用するときの注意点

ブロックタイプの水彩紙を利用するにあたって頭に入れておいた方が良いことや、注意点についてまとめてみました。

厚みのある水彩紙を選ぶこと

ブロックタイプの水彩紙は、一枚ものの水彩紙と比較するとヨレにくいです。

とはいえ、あくまでも「ヨレにくい」だけでヨレないわけではないため、 たっぷりと水を含ませた描き方をすると紙の表面がでこぼこになりやすいです。

たとえでこぼこになったとしても、ブロック状のまま乾くまで放っておけばまっすぐに戻ることがほとんどです。

なのであまり気にしなくてもよいのですが、描いている最中に紙がでこぼこすると、 絵の具が流れてムラができてしまうことがありますし、何より描きにくいですよね。



この描いている最中のでこぼこを防ぐには、できるだけ厚みのある水彩紙を選ぶことです。

自分の経験上、300g以上の水彩紙であれば、よほど水をたくさん使わない限りは大きくヨレることはありません。



特にサイズの大きい紙を使う場合は、できるだけ厚みのある水彩紙を選んでください。

300g以上かつブロックタイプの水彩紙であれば、多少紙に歪みが出ることはあっても「でこぼこ」というほどにはならず、 快適に描くことができるはずです。

はがすときに紙を破らないように注意しよう

ブロックタイプの水彩紙は、絵を描き終わったあとにペーパーナイフなどで紙をはがしますが、 やり方が悪いと紙を破損してしまうことがありますので注意が必要です。

製品によって個体差があるのですが、結構がっちり糊付けされているブロック水彩紙もあるのですよね。

そういう水彩紙だと、ナイフを差し込んでもスムーズに糊がはがれてくれず、紙を破いてしまうこともないとはいえません。

なのではがすときは、できるだけゆっくりをナイフを差し込んでいくようにしましょう。



以下のようなブロック水彩紙用のペーパーナイフを使うと、紙を傷つけずにキレイにはがせます。 あと繰り返しとなりますが、ブロックタイプの水彩紙を使うときはできるだけ厚みのある製品を選びましょう。

厚みのある水彩紙は多少力をいれても紙が破損しづらいため、ブロックタイプの水彩紙は紙に厚みのある製品がおすすめです。

側面の糊がはがれてきたときの対処法

ブロックタイプの水彩紙であっても、 水をたくさん使った描き方をしていると側面の糊がはがれてくることがあります。

はがれ方によっては描きにくくなることもありますし、そのまま描き続けると紙がでこぼこする原因にもなります。

糊がはがれた場合は、マスキングテープを使って紙の側面を固定するとよいでしょう。



あくまでも上図は例で、側面さえ固定できればどのような貼り方をしても構いません。



なお糊がはがれるのを防ぐために、最初からマスキングテープで固定しておくというのもありです。

マスキングテープを水彩紙の側面に貼っておくと、側面に絵の具がついて汚れるといったトラブルも防ぐことができます。

まずは試してみよう

以上、水張りをしなくても水彩画が描ける水彩紙について解説させていただきました。

繰り返しとなりますが、水張りが面倒だという方はとりあえずブロックタイプの水彩紙を試してみてください。

個々の描き方にもよるので一概にどうとはいえませんが、 紙をびしょびしょにするくらい水をたくさん使うのでなければ、ブロックタイプで十分間に合うはずです。

私自身も大きめの作品(F6以上くらい)を描くのでない限りは、 水張りはせずにブロックタイプの水彩紙を使うことが多いです。

逆に常時水をたくさん使われる方や、絶対に紙をでこぼこさせたくない方は、 あきらめて水張りをされることをおすすめします。


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