水彩筆の種類と選び方について解説 快適に描ける筆を選ぼう | 毎日水彩画

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水彩筆の種類と選び方について解説 快適に描ける筆を選ぼう

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水彩画を描くときに必要となる、水彩筆。

水彩筆と一口にいっても様々な種類があり、お値段もピンからキリまで非常に幅広いです。

絵画初心者の場合、どれを選べばよいのかと迷ってしまう方も少なくないのでないでしょうか。

今回はそんな水彩筆の種類や特徴をはじめ、快適に水彩画を描くための筆の選び方について解説します。

水彩筆の形状 持っていると便利なタイプについて

水彩筆には、さまざな形状・サイズがあります。

ここでは水彩画を描くときに使われることの多い形状、サイズの水彩筆についてまとめてみました。

よくわからないという方も、とりあえず説明しているような形状やサイズの筆を揃えておけば、不便なく描けるはずです。

利用頻度の高い「丸筆」

水彩画を描くときに一番利用頻度が高いのが、「丸筆」と呼ばれる筆です。



穂先が丸みを帯びているため、柔らかい曲線が描きやすいこと、 また筆のサイズにより、広い範囲を塗るのにも細かい描画にも使いやすく、大小いくつかのサイズを揃えていると重宝するはずです。

あると便利なのは以下のサイズです。

・細筆(4号前後)
・中位の筆(8号前後)
・太筆(12号以上)

とりあえず上記のサイズを揃えておけば、広範囲の色塗りをはじめ、繊細な表現など多用途に使えます。

私自身は細かい表現をすることが多いため、上記サイズに加えて、やや号数が小さめ(0~6)の筆を多めに揃えています。

ムラなく塗るのに便利な「平筆」

丸筆のほかに、平筆も大小サイズを揃えておくと便利です。



平筆とはその名のとおり、平たい形状をした穂先を持つ筆のことで、フラット筆とも呼ばれます。

色を塗るときに、穂先を均等に紙にあてることができるため、 広い面を塗る際に色ムラができにくいこと、また角度を変えることで真っすぐな線や角を描くなど、さまざまな表現が行えます。



s この平筆の仲間で、以下のような「フィルバート」と呼ばれる穂先の側面に丸みをつけたタイプの筆があり、私自身はそちらをよく利用しています。

フィルバートは平筆よりも線が柔らかく、より描きやすいと感じます。 ただし「角」を描くときには、丸みのない通常のかたちの平筆のほうが描きやすいです。

繊細な線が描ける「面相筆」

絶対に必要ではありませんが、日本画用の面相筆もあると便利です。



もとは人形の顔を描くための筆で、毛先に程よいコシを持ちつつも柔らかく細いため、細かい描画がしやすいです。

個人的には筆専門のメーカーであるナムラ(名村大成堂)の面相筆が、穂先がきれいにまとまりやすいため気に入っています。 上記はお手頃な価格であるのにもかかわらず、描きやすいです。

面相筆がなくとも、号数の小さい丸筆があれば事足りますが、精密な絵を描くことが多いのであれば面相筆は持っておいて損はないでしょう。

水彩筆を選ぶときは「素材」も気にしよう

次に、水彩筆の毛に比較的よく使われている素材について解説します。

筆は毛に何を使っているかによって描き心地が大きく変わってくるため、ある程度素材の性質について知っておくと、選ぶときに役立つはずです。

ナイロン毛

価格の安い水彩筆に使われることが多いのが、ナイロン製の毛です。

動物の天然毛を使った筆とは異なり安価に大量生産できるため、百均で売られている水彩筆もナイロン製が多いです。



一般的なナイロン製の筆は、毛の繊維の表面が平坦であるため、毛の表面がうろこ状である天然毛のように水を多く含むことができません。

なので絵の具の持ちが良くなく、広範囲を塗る場合にパレットと紙を何度も往復するなど、不便な面があります。

ただ毛のコシはほどほどにあること、またきちんと作られた製品であれば穂先がまとまりやすく、価格から想像するほど使い勝手は悪くありません。

コストがかからない点もナイロン筆のメリットです。
ナイロン製筆の特徴

・安い
・コシはほどほどにある
・水の含みが悪い

馬毛

馬毛を使った水彩筆もポピュラーであり、比較的価格が安いものが多いです。

どの部位の毛を使っているのかにもよりますが、 全体的に毛が柔らかいのにもかかわらずコシは強く、耐久性も高いのが特徴。

穂先はややまとまりにくくバサバサになりやすいため、緻密な描画にはあまり向きませんが、きちんと作られた製品は描きやすいです。

個人的にはあまり使わない種類ですが、安く天然毛の筆を使いたいという人には悪くないでしょう。
馬毛の筆の特徴

・安い
・コシが強く耐久性が高い
・水の含みが良い
・穂先はややまとまりにくい

リス毛

水彩には最適とされる、リス毛を使った水彩筆。

毛がとても柔らかくスラスラと描けること、また水の含みがとても良いため、塗っている途中で絵の具を継ぎ足す必要がありません。

穂先のまとまりもよく、緻密な描画にも適しています。

最高級とされるコリンスキー毛の筆ほどのコシと弾力はありませんが、使いやすい水彩筆が欲しい人にはおすすめの素材だといえます。



ちなみにリス毛の筆といっても様々なタイプがあり、特にカザンリスやカナダリスの毛を使った水彩筆が人気です。
リス毛の筆の特徴

・高級
・柔らかく描きやすい
・水の含みが良い
・コシは普通
・穂先のまとまりが良い

コリンスキー毛(赤テンの毛)

イタチの一種である赤テンの中でも、 コリンスキーと呼ばれるロシア産の赤テンの毛を使った筆は、筆の中でも最高級品です。

コリンスキーの筆は、セーブル筆などとも呼ばれています。

柔らかく適度なコシと弾力があって描きやすいこと、 また水の含みもとてもよく、広い範囲を絵の具を継ぎ足さずに描けるなど、水彩画に最適な特徴を持ち合わせています。

穂先のまとまりもよいため、緻密な描画にも最適。要は、なんでも描けるということです。

最高級だけあって高価ではありますが、 とにかく水彩画が描きやすい筆が欲しいという人には、コリンスキー毛の筆をおすすめします。



なおネットを見ていると、たまに妙に安く売られているコリンスキー筆を見かけます。

安さは魅力ですが、描きやすさを重視してコリンスキー筆を買うのなら、ラファエルやホルベインなど有名な画材専門メーカーの製品を選んでください。
コリンスキー毛の筆の特徴

・高級
・柔らかく描きやすい
・水の含みが良い
・適度なコシと弾力がある
・穂先のまとまりが良い

リセーブル毛

リセーブルと呼ばれる、特殊合成繊維を使った水彩筆もおすすめです。


リセーブル筆

このリセーブル毛とは、高級品であるセーブル(コリンスキーなど)筆の毛の特長を、 ナイロン繊維に特殊処理を施すことによって人工的に再現したものです。

特殊処理によって水の含み、コシ、穂先のまとまりなど、 高品質な天然毛が持つメリットを付加しています。

セーブルは高価ですが、リセーブル自体はナイロンであるため、 高級な天然毛の筆に比べると価格が安いのがポイント。

使いやすい水彩筆を、できるだけお手頃な価格で揃えたいという人にはおすすめの素材だといえるでしょう。
リセーブル毛の筆の特徴

・お手頃価格
・水の含みが良い
・適度なコシと弾力で描きやすい
・穂先のまとまりが良い

私自身も、使っている筆の3分の1くらいはこのリセーブル毛を使った筆です。

特にブラックリセーブルと呼ばれる筆は、穂先が日本画の削用筆のように細く仕立てられているため、 太い線も細い線も自由自在に描けます。


私が使っているブラックリセーブルの穂先

通常のリセーブル筆よりもお値段は高めですが、ものすごく使いやすいのでぜひともそろえておきたいところです。

私は1号と3号サイズを持ってます。
水彩画を描くときには欠かせません。

水彩筆のまとめ

最後にまとめます。

高級な天然毛を使った筆は描き心地が良く、より水彩による表現を思い通りにしやすいのですが、 水彩筆は消耗品です。

だんだんと毛先がへたってくるため、いつかは新しいものに交換しなくてはなりません。

なので無理なく買える価格帯で、自身が使いやすいと感じるものを見つけるようにしましょう。
価格重視の人に

・ナイロン筆
・馬毛の筆
など

価格と品質のバランスを重視する人に

・リセーブル筆
など

とにかく品質重視の人に

・リス毛の筆
・コリンスキー毛の筆
など

あくまでも上記は目安です。

よく使う筆は高級なものを、あまり使わない筆はナイロン製で…といった具合に、 筆によって素材を変えてもよいと思います。



なお、筆の使い心地は素材だけで決まるものではなく、製造方法によっても大きく変わります。

できるだけ描きやすい筆を使いたいのであれば、筆専門や画材メーカーが販売する水彩筆を買い求めることをおすすめします。

無名メーカーの安価な製品が悪いというわけではありませんが、評価などを見ていると個体によって品質差が大きいようで、 中には毛抜けが激しかったり、造りが粗悪な製品もあるようです。

運が悪いと、お金を捨てるのと同じことになってしまいます。

その点、筆専門メーカーの製品は価格がやや高めではりますが、価格が高いだけのことはあって造りが良く使いやすいです。

失敗しないためにも、確実な製品を選ぶことをおすすめします。


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